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関幸彦 平安時代の歴史~「貴族道」と現代 7-9 (全9話) [講義等]

(2023日)



関幸彦
日本大学文理学部史学科教授


(7)律令国家と王朝国家の違い
(8)平安王朝における「貴族道」
(9)「貴族道」の「貴族道」たる所以



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10mtv 関幸彦 平安時代の歴史~「貴族道」と現代


律令時代から王朝時代となるが、摂関政治の段階になると請負が原理となり各家柄が相応に職能を分担する。大きくは公家、武家、寺社家で各々に各家がある。
これは理想から結果オーライ主義への移行でもあった。

三位以上が貴族で中央政治、四位五位は通貴で地方だという。
武士道が武力を是とするが、貴族道は逆境にあっても決してめげない粘り強さで解決の道を探るが、これは劣勢になればすぐに腹を切る武士道と対極にある。

貴族道は左道を嫌い、会議では下から意見を言わせ、議長が全体を忖度して決め、天皇に上げるという。この忖度主義は他を傷つけない思いやりでもあった。

が、1つの組織の中に異物を混入させないとその組織は失敗に終わる。
摂関政治も道長の子孫での独占としたことで、そこから院政となる。

「貴族道」から当時を理解しようとする講義は刺激的で面白い学びでした。





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長谷川眞理子 進化生物学から見た「宗教の起源」 [講義等]

(2023日)



長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長/元総合研究大学院大学長


(1)宗教の起源とトランス状態
(2)宗教の機能とメンタライジングの次元
(3)集団の種類・サイズと宗教の関係



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10mtv 長谷川眞理子 進化生物学から見た「宗教の起源」


「ダンバー数」では150人までなら仲良くできるようだ。

霊長類・サル類は「毛繕い」でエンドルフィンという脳内麻薬で気持ちよくなり信頼感・帰属意識が増すそうだ。
これと「メンタライジング」で「共有する」とはどういうことなのか「私は知っているのよ」における5次元の解説は貴重な学びでした。

ネアンデルタール人が埋葬はするものの、ホモサピエンスから副葬品が入るという。


「高みから道徳を説く神」は狩猟採集社会には存在せず、フリーライダーが登場するようになり必要になったからだそうだ。
ここは、楽園から追放した人類を基本的に放置していただけで、神様ははじめから存在し続けていると考えるかの違いなのでしょう。

宗教共同体でも150で世俗的な規範の無いボランティアでは50だという。

宗教的な説明から自然科学の説明に置き換わっていっても、
死に対する慰めの必要と、高みから道徳を説く存在は相変わらず必要なのでしょう。

宗教について考える方ですが、学びが多く面白かったです。




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関幸彦 平安時代の歴史~「貴族道」と現代 4-6 (全9話) [講義等]

(2023日)



関幸彦
日本大学文理学部史学科教授


(4)摂関政治と「三平・三道」時代
(5)摂関政治から院政へ
(6)摂関家の成立と摂関政治の衰退


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10mtv 関幸彦 平安時代の歴史~「貴族道」と現代


摂政関白が常置される「三道時代」の100年前は「三平時代」で、
時平が菅原道真を大宰府へ左遷したように他家を排除していったが、
「三道時代」は兄弟で激しく争うようになる。

古い時代の天皇は権力と一体だが、成人で分別が必要であり、
そのため実力者である兄弟が後を継ぐケースが珍しくないが、
幼少でも構わない時代となると摂政関白の存在が大きくなる。

中でも道長により摂関家の成立となり、家格で職位が決まる時代となったという。




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曽根泰教 どうなる?2024年大統領選挙…分極化が進むアメリカの行方 [講義等]

(2023日)



曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長





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10mtv 曽根泰教 加速する「アメリカの政治的分極化」と今後の可能性


分極化は分断とは違う概念で、イメージ図で左右に離れていき、重なる山が小さくなっていくのがよく分かりました。

南北戦争の昔から分極していたとはいえ、それがトランプ政治前と後とで顕著に変わるという。もはやユナイテッドが難しいところまできているという。
緊張感、危機感が伝わってくる回でした。

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曽根泰教 深刻化する「複合危機」を分析する (全2話) [講義等]

(2023日)



曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長



(1)「Polycrisis」とは何か
(2)世界の危機、日本の危機



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10mtv 曽根泰教 深刻化する「複合危機」を分析する



ポリクライシス(polycrisis)"複合危機"という言葉は2022年頃から使われだしたという。
環境、地政学、社会、テクノロジーそれぞれの危機が相互に関連することを表した言葉で、複合的に危機の全体像を見る必要がある。

曽根氏は違う角度から見ることを提唱される。
認知空間、サイバー空間、物理空間の3つのレイヤーで考えるという。
『GCHQ:英国サイバー諜報局』というドラマがあり、
誰が本当のことを言っているか嘘を言っているか分からなくするのが戦争危機の本質のようだ。
そして現在、ドラマだけでなく現実に進行しているそうだ。

また、慢性的な危機と急性的な危機を分けて整理し、
急性的な危機には保険会社が負担してくれるリスクとそうでないリスクがあり、
後者の領域、例えば戦争を防ぐシステムをどうやって作ればいいか、考えなければならない危機に直面していた。


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山内昌之 パレスチナ問題…解決への道 3-5 (全5話) [講義等]

(2023日)



山内昌之

東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授


(3)ガザ再建への早すぎる問い
(4)ガザ戦争による変化
(5)ガザ戦争終結後の展望




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10mtv 山内昌之 パレスチナ問題…解決への道


ハマスの存在は認められないので、戦後は「ガザ臨時政府」が作られる必要があり、
諸外国からの援助を得て人々の生活を再建させていかなければならず、
ギャングやアナーキストではなく、責任をもって役割を果たす人々が必要だという。

ハマスが統治に戻ることはないがPAのアッバース代表もあまり信用されておらず、
「新しい革袋に新しいワイン」が必要となる。

イスラエルはホロコーストに対する反省が歴史上大きな武器として持っており、
道徳的優位性があったという。それがこの戦争プロセスで消え去るやもしれないという。
時事でありながら現象面でなく本質が語られており大変密度ある有意義な講義でした。






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山内昌之 パレスチナ問題…解決への道 1-2 (全5話) [講義等]

(2023日)


山内昌之
東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授


(1)当事者双方に最悪なガザの悲劇
(2)聞こえないガザ市民の声と悲劇の本質


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10mtv 山内昌之 パレスチナ問題…解決への道


イスラエルは「第二次ホロコースト」、パレスチナでは「第二次ナクバ」と呼び、
双方が一番許すことができない記憶と比較しているという。

1993年のオスロ合意では2つの独立国家として並存させ民族自決と国家主権を認めていこうという考え方があったが、ラビンやペレスの労働党内閣から今日の極右や右派の連立政権に譲りがちになったことで上手くいかなくなる。

ヨルダン川西岸のパレスチナ自治政府の力を弱めるために、あらゆる手段を講じてきたそうだ。

ロシアのボルシェヴィキの組織論と比較して解説される有意義な回でした。





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本村凌二 江戸とローマ~花見と剣闘士 5-7 (全7話) [講義等]

(2021日)


本村凌二
東京大学名誉教授/文学博士

※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


(5)祭と無礼講
(6)庶民の娯楽と熱狂度
(7)庶民のリテラシーと為政者の関わり方



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10mtv 本村凌二 江戸とローマ~花見と剣闘士


治安において行政に従う日本の国民性、自粛や同調圧力の強さとは違い、
ローマでは「自由」に対する意識が大きいという。

歌舞伎は現代では伝統芸能だが、江戸期では現代劇でありファッションも流行も牽引したという。

その他、洋の東西での違いを具体的に多くの事例を知ることができる面白い回でした。




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本村凌二 江戸とローマ~花見と剣闘士 1-4 (全7話) [講義等]

(2021日)


本村凌二
東京大学名誉教授/文学博士

※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)



(1)平和な100万人都市
(2)庶民文化の比較
(3)剣闘士興行と戦車競走
(4)剣闘士の実際



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10mtv 本村凌二 江戸とローマ~花見と剣闘士


古代ローマと日本を比較するには、同時代では違いすぎ江戸時代となる。
共通項が必要だが、ちょうと100人都市で長期の平和だった。
もっとも、周辺部では争いがあったがローマやギリシャでは平和だった。
剣闘士興行は元は慰霊から始まったという。それが300か所となり、
都市部では30万規模の収容が可能な施設を作る。
「パンとサーカス」だが、曲芸ではなく元の言葉は「キルクス」で戦車競走のコースだった。
古代ローマでは他人の血と死を見たかった訳ではなく、真剣な勝負を見たいだけであり、また資産でもあったため死んで欲しくもなかったが、蛮族の捕虜や死刑囚となると簡単に殺されるようになったという。

一方、さすがに18世紀となると吉宗は花見の名所を多く作ったようだ。
平壌のように江戸に人と金が集中している特殊空間でもあったのでしょう。



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関幸彦 平安時代の歴史~「貴族道」と現代 1-3 (全9話) [講義等]

(2023日)



関幸彦
日本大学文理学部史学科教授


(1)日本の歴史における平安時代の意味
(2)請負システムの浸透と王朝国家の確立
(3)10世紀の外的環境と天皇名の変化


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10mtv 関幸彦 平安時代の歴史~「貴族道」と現代


10世紀後半で、平安時代400年を前半後半に分ける。
律令国家から王朝国家と移るが、大陸で唐が解体し宋になったことが、
海を越えて間接的に影響したという。
10世紀で徐々に権力の分散がなされ「公家」「武家」「寺社家」と3つの権門それぞれが専門に応じた請負のシステムが実現される。
律令国家という中国のお手本の衣装を借りたが成熟し日本的なシステムが生まれたと考える。
また、中国的な皇帝主義を前提とした天皇名から京都の中の地名に変化したことも大きな転換期であることの1つの象徴的な事例だった。
密度ある整理された学びであり続きが楽しみです。




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